実利行者の足跡めぐり

那智大滝

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字那智山  2007年11月12日
明治17年(1884)4月21日、実利行者は衆生済度平等利益の誓願を果たすべく、最後の那智冬籠もりの修行を終え、修験道最高の聖地とされる那智大滝の天辺より捨身入定しました。享年42歳でした。

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行者の遺体はいつまでも浮かび上がらず、信者たちは滝壺の中に入って行者を探し、遂に座禅を組んで沈んでいた行者の姿を見つけ、遺体を引き上げたと伝えられています。大滝の上、銚子口の左側に座禅石という石があり、そこで修行者は水の流れを見ながら座禅を組むと那智山では伝えられています。おそらく行者も捨身の前にこの石の上で座禅を組んだと思われます。行者が捨身二日前に書いた遺書には捨身について何の理由もあげていません。「無常のけむりとなる事因縁なれば、此段御断り申置候」といっただけで、自分の死を知らせるにとどまっています。しかし捨身の決意を示す和讃があります。



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2009年4月25日 撮影 降雨により水量多し。


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御滝祈願所

『捨身行者 実利の修験道』に記されている、那智大社宮司篠原四郎氏による伝記『実利行者伝聞書』によれば、「昭和41年12月14日実利行者八十三回忌に御滝本祈願所を建立して、三昧修法聖火焚き上げをなし、大滝帰神四十八の霊位と共に行者の霊をこれに安鎮す」と述べられています。この大滝に捨身した実利行者の霊が、永遠にここに鎮まって衆生済度する事が認められました。   2009年4月25日 撮影






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